今回は、築20年・延床面積約50㎡の軽量鉄骨造倉庫を、美容室へ用途変更するコンバージョンリノベーション工事です。

 既存建物は倉庫用途で建設されたもので、屋根は折板、外壁は鉄板サイディング、床はコンクリート土間仕上げとなっており、断熱材が一切施工されていない仕様でした。

 美容室としての快適な室内環境を確保するため、本計画では断熱性能の向上を最優先課題として設計・施工を行いました。屋根および外壁面には、現場発泡による吹付硬質ウレタンフォーム断熱材を採用し、気密性と断熱性を同時に確保しています。

 さらに床については、給排水設備配管の敷設スペース確保および断熱施工を目的としてOAフロアを採用しました。これにより床下空間を設備スペースとして活用するとともに、断熱材の施工による床面の断熱環境改善を図っています。

 外観計画では、既存倉庫の印象を払拭するため、窯業系サイディングによるパラペットを設け、建物全体をシンプルなキューブ型のファサードとして再構成しました。外装はブラック系サイディングをベースとし、木目調サイディングをアクセントとして配置することで、店舗としての視認性とデザイン性を両立させています。玄関にはウッド調の引戸を採用し、外観全体に温かみを持たせた意匠としました。

 照明計画としては、夜間の視認性と店舗演出を考慮し、玄関ポーチライトおよび軒下ダウンライトに電球色照明を採用。木目調外装材をやわらかく照らすことで、来店時に温かみを感じられる店舗ファサードを形成しています。

 内装計画では、壁・天井をグレー系クロスで統一し、落ち着いたトーンの空間構成としました。床仕上げにはメンテナンス性を考慮し、コンクリート調のクッションフロアを採用しています。また、カウンターおよびシャンプースペースの目隠し格子壁にはチーク色を取り入れ、無機質になりがちな内装に木質の温かみを加えました。

 既存倉庫の構造を活かしつつ、断熱性能・設備計画・意匠計画を総合的に見直すことで、美容室として快適性と機能性を兼ね備えた店舗空間へと再生したリノベーション事例となっています。